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山行記録を書こう  

教育遭対部長/OWCC 中川和道

 

 何だか身の回りで山行記録を見るチャンスがめっきり減ってきている.いろいろな登山学校の文集を読む機会によく思うのだが,文集にあるのは表題どおりの感想文.そうではなく記録を読みたい.時間記録,ルート図,コース図,山行の記録本文,それにできればテクニカルノートがついた生粋の山行記録,自分なりの山行記録を.

 自分の山歩き,自分の山登りを大切にしたりこだわったりすればするほど,人は記録にエネルギーを注ぐようになる.山岳会やハイキングクラブには体育会ではおさまりきらない何かがあり,山行記録はその典型だ.山を歩くことそれ自体は運動だが,山行を企画し,調べ,準備し,帰りに反省会と言いつついっぱい飲み,記録を書く.会員の記録を集め,会報を企画し,印刷し,発行し,流通をはかる.それらを読み,論評する.また次の山行を考える・・・. 山の会は総合サークルだとつくづく思う.

 中川は「事故対策会議」を何度も司会してきた.その中で思うのだが,事故報告書を書くことが困難な会がだんだん増えてきているのではないか?事故報告書を書こうとすれば,当然のことながら,どんな山行だったのかを客観的にまず書くことから始め,次にどこに問題があったのかを考察して行かねばならない.この始めの山行記録が何とも難しいように中川には見えるのだ.

 山行記録の目標は事故報告書ではない.山行記録が書けるようになると,自分を客観的に見ることができるようになる.これが本来の目的で,山の世界がひとまわりもふたまわりも広く深くなる.山行記録を書くことは労山が掲げる「文化としての登山」の重要な要素である.

 

 2014年,山行記録を書くことを重点としてめざした統合初級アルパインリーダー学校が始まる.この機に山行記録の書き方を学んでみませんか?