ハイキングレスキュー講習会の報告
豊中労山 井手上
目的:一般登山道で一番多い事故は、道迷いと転滑落です。そうなったとき、
自身を守る、仲間を守る知識を学び合う。昨年10月3日ハイキング交流会の開催を経て実施。
日時: 9月27日(土)午前9時 道場駅に集合(天候 晴)
場所: 鎌倉峡 売店右側方向の河原で 午前10時より講習開始、
終了 午後3時ごろ
持ち物:「お助け4点セット」(総重量:800〜900gになります)
1、スリング3本以上(テープスリング120〜150cm1本、簡易チェストハーネスとして利用するので、幅の広いテープのほうが良い)
・太さ5mm細引きスリング60cm、80cm、各1本(補助ロープが
7mmなので)
2、カラビナ3個以上(安全環付大きめの物1個、懸垂下降時にムンターヒッチを使用する時大きな、洋ナシ型の形状のものが使い易い。その他2個)
3、補助ロープ10m又は、20m、太さ7mm以上、搬出時タンカ用の布としても使用できる。
4、ツエルト(簡易テント)横になって寝る事の出来るサイズ以上。搬出時 担架用の布としても使用できる。
参加費 500円 (資料代)
参加者 園理事長、入澤副理事長
徳野常任(ハイキングレスキュー担当)
川原常任(教育遭対部)
高橋常任(ハイキングレスキュー事務局)
井手上常任
受講者 :24名(大阪労山10クラブ)
講師:泉州労山 日高博さん 他、泉州労山の6名の皆様
1、 何故ハイキングや日帰り登山でも「お助けセット」持参を勧めるのか?
○泉州労山での3連続事故(道迷い、沢での転落事故、毒キノコ)の反省と取組
3事故の内、道迷いでは、「お助けセット」の1つ、ツエルトによるフォーカストビバークを当時の初級夏山で習得していた生徒だったのでツエルトによるビバークで重大事故を免れた。
「ハインリッヒの法則」は厳然と働いている。(1:29:300)
(事故の割合、300はドキッとした、29は軽症、1は死亡、又は重傷)
事故の原因(複数)を明確にし、対策や改革をしなければ重大事故は繰り返す
「未熟による事故」学習とトレーニングにより防止可能
「慣れによる事故」やベテランによる事故は注意力だけでは解決しない。
人間は必ずミスをするという前提にたち、フェールセーフの導入が必要。またそれが有効に機能するためは自由にものが言える会づくりが大切。
連盟の事故から学ぶところは大きい。会では自分たちの会でも起こりうると考え、詳しい状況報告のあるものは、トレーニング時、会としての対策を検討しています。またヒヤリハットを例会ごとに報告しあっている。
2、 危険への対処
○急な斜面での対応、危険を感じた時、滑落が想定されるとき
トラバース(簡易チェストハーネス、スリング、カラビナによる墜落防止)
@ 簡易チェストハーネスの装着 Aスリング、カラビナを使った滑落防止
@ 登行器としてのフリクションノット(クレイムハイストノット等)
A お助けロープを出して共倒れを起こさない事、(支点、足場、手掛かりループ)
B 鎖場、固定ロープを安全に使う(登りでは体重をかけない、ひばり結び)
下り(フリクションノット、お助けひもの出し方、鎖場の対応、懸垂下降)
@ Aは登りと共通
B鎖場、固定ロープ(支点の安全確認、鎖や結び目のあるロープはひばり結
び可能)
C懸垂下降時ムンターヒッチ(半マスト結び、イタリアン)
3、 遭難してしまったとき(道迷い、滑落等によるケガ、日没)
○ビバーク
ツエルトの張方と道具(ツエルトにあらかじめ細引きをセットしておく事)
*1つの張方として、(立木のある場所の場合)
メインロープをツエルトの上部高さより少し上になるよう木立間(ツエルトの長さ以上の間隔に張り、ツエルト上部の張りひもの片方はメインロープにまず固定。もう片方の張りひもは、プルージックにカラビナを使用して
そのカラビナに張りひもを固定してツエルト上部をピーンと張る。こうすれば立木のある場所では、ツエルトはすぐに張れます。
臨機応変な対処(ストック、傘、ロープ、スリング等なんでも使う)
○ケガ人の搬出
補助ロープによる背負い搬出(10mのロープ2組で可能)
ツエルトによるタンカ(ストック、立ち木、補助ロープ、スリングは担ぐときに)
4、 その他、非常時あると便利な物
○ノコ、ライター、ガムテープ、針金、プライヤー等
(ヘッドランプ、予備電池、テーピングテープ等、当然持っている装備は含めて
いません)
5、 お助けセットで出来ること(危険箇所の通過、救助、ビバーク他)
a、 簡易チェストハーネスをつくる
b、 セルフビレイを取る。クローブヒッチ(インクノット)、エイトノット 他
c、 カラビナで斜面を下りる。ムンターヒッチ(半マスト)
d、 巻きつけ結びで確保する。プルージック、オートブロック
e、カラビナで制動をかけながら斜面を引き上げる。ムンターヒッチ
・ムンターヒッチでブレーキをかける(引き上げ・下降可能。自動停止できない)
f、急な傾斜の引き揚げ方
・ムンターヒッチでビレーをしてもらい登る
6、 ロープを張って危険箇所を通過する 崩壊地、急斜面、岩場
a、フィックスロープの張り方
リーダーがロープを固定し、そのロープにセルフビレイをとりながら後継者が通過する。セルフビレイを取るときにはカラビナ2枚とスリングを使用する。途中で中間支点をとってある場合は、カラビナの架け替えの手順に注意。
7、 ツエルトを張って一夜を過ごす(ケガや道迷いや疲労や天候悪化などで、予定通りに下山出来なくなったときにツエルトを張ってビバークする)
* ツエルトを広げたり巻きつけたりして、風雨を防ぎ、体温の低下を防ぐ
以上の内容を日高氏の丁寧な説明及び泉州労山の皆様に手ほどき頂き実習した。
※何れも繰り返し練習して非常時、すぐに対処出来るようになるようにしましょう。