平和と登山のページ(2015年11月号) |
平和と登山委員会 文責:大西清見(泉州勤労者山岳会)
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《戦跡ハイク・紀淡海峡に浮かぶ友ケ島へ》 大西清見
9月26日(土)、第35回戦跡ハイクで和歌山県友ケ島に行ってきました。参加者は12山岳会24名、コースは野奈浦桟橋〜第2砲台跡〜友ケ島灯台(近くに東経135度の子午線広場があります)〜池尻広場・孝助松広場〜タカスノ山(119.9m)〜第3砲台跡〜南垂水キャンプ場〜野奈浦桟橋、歩行6時間の楽しい交流山行でした。
午前9時20分、加太港から汽船で友ケ島に渡り、地形図を基本に現在地を確認しながら砲台跡や灯台・キャンプ地をゆっくり歩くことにしました。最初の訪問地は、第5砲台跡を経由して第2砲台跡へ。赤レンガの建物のある大規模な砲台跡です。この砲台跡は終戦時に爆破処理されたそうで、崩壊がかなり進んでおり、有刺鉄線が張られ中まで近づけません。砲台跡横に紀淡海峡を眺める芝生の美しい広場がありました。ここがこの日の一番の集合写真撮影のスポット、暫しの間思い思いのんびりと寛いだのでした。
第2砲台跡から約5分の所に友ケ島灯台があります。1872年、日本で8番目にできた洋風建築の灯台で現在も稼働中だそうです。青い空に海、白い灯台が美しい風景をつくっていました。この灯台西側の広場に日本標準時子午線があり、「友ケ島、東経135°00′00″」の標識で兵庫県明石を思い浮かべますが、ここはその子午線の最南端です。。
灯台から南東に池尻キャンプ場を越えて緩やかな山道を行くと旧海軍の聴音所跡。潜水艦などの侵入を察知するためにつくられた施設とか、海側にたくさん窓があるので、音だけではなく目視によっても確認したことが分かります。戦後70年の歳月の割にはまだまだ当時の雰囲気が残っている建物跡でした。
この日の昼食は友ケ島最高峰・タカノス山(119.1m)の展望台広場。眼下に紀淡海峡を見下ろし、はるか淡路島や六甲山の山々も望める絶好の広場で交流会も行いました。12の山岳会から来られた24名による、自己紹介や平和と戦跡ハイクへの思いを語り合ったのでした。この時、北大阪のぼろう会の井上さんの「友ケ島に来て良かった。地形図を見ながらのんびり島をめぐり、平和でハイキングが楽しめるのはすばらしいことだなと思いました」と語られていたのが印象的でした。
昼食のあとは、砲台跡の中では、規模が最も大きく、保存状態が良い第3砲台跡へ。円い砲座の跡が4区画あり、区画間はトンネルで結ばれていました。各区画には砲座が2か所あるので、計8砲座あったことになるそうです。下の写真(右)は、トンネルから隣の区画を見たもので、当時の大きな砲台の施設を偲ぶことができます。また、砲座から少し離れたところに弾薬などを保管する倉庫がありましたが、ここは真っ暗なので持参したヘッドランプで探っていき、ここも保存状態が良いのに驚かされます。
最後の休憩地は南垂水広場、芝生に覆われた広場でキャンプやレクリエーションに好適でこの日も4張のテントが張られていました。汽船が迎えにくる午後3時頃まで、この広場や桟橋でみんな思い思いに最後の散策をしながら友ケ島の一日を振り返ったのでした。最後の加太港の食堂での反省会にもほとんどの方が参加され、有意義な戦跡ハイクを終えることができました。
タカスノ山展望台(広場)で交流会。 第3砲台跡、島内で6ケ所の砲台跡があり、この砲台跡が最大。
☆友ケ島戦跡ハイク参加者(24名)
〇こもれび6名(佐々木・小林・足立・三木・福田・鈴木)
〇泉州労山5名(澤村・辰巳・畑中・野口・大西)
〇豊中4名(南埜・池田・川戸・川島) 〇福島1名(日置)
〇モンテス1名(近藤) 〇北大阪のぼろう会1名(井上) 〇きたろう1名(元)
〇八尾1名(本田) 〇吹田1名(徳野) 〇てんの会1名(宮本)
〇COWAC1名(安部) 〇なにわ1名(旧会委員・野坂)
☆戦跡ハイク参加者の感想
井上眞由美(北大阪のぼろう会)
自然を楽しみ健康で登山が続けられるよう、平和を願う気持ちで労山の平和と登山委員会の戦跡ハイクに参加しました。気持ちよく晴れた青い空と海のもと、この自然豊かな友が島に似つかわしくない砲台跡が悲しかったです。地形図を見ながらのんびり島をめぐり、平和でハイキングが楽しめるのはすばらしいことだなと思いました。加太で新鮮な海の幸を味わい、喉をうるおし親睦を深めました。充実した一日をありがとうございました。
もとゆりこ(きたろうハイキングクラブ)
「登山者9条の会」主催の戦跡ハイキング・友ケ島に参加させていただいきました。晴
天に恵まれ、青い海に浮かぶ友ケ島の自然の豊かさとともに、淡路島から明石、白浜まで見渡せる景色を堪能しました。同時に、砲台跡や弾薬庫らしき複数の地下倉庫などの戦跡は、日米の戦力の圧倒的格差を知りつつ突入し、日本人300万人、アジア全体で2,000万人というおびただしい死者と破壊をもたらした太平洋戦争の愚かさ、空しさを、改めて私たちに実感させるものでした。砲台などの設備は、大阪大空襲を防ぐ上で何の役にも立たなかったそうです。日本が戦争をする国に戻ろうとしている今、それらの戦跡は、戦争を知らない世代の教育に有用な優れた教材になりえるのに、ほとんど説明文がなく、放置されていることが残念です。
このような地味な活動を地道に続けて来られた「登山者9条の会」の方々に敬意を表します。ありがとうございました。
紀淡海峡を背に第2砲台跡横の広場で集合写真
佐々木雅博(こもれび)
友ヶ島は3回目です、但し荒天で連絡船が欠航して行けなかったことがあり加太港には4回きたことになる。前回は島内をくまなく歩き、満潮になると水没して渡れない虎島にも渡った。明治22年に建設されたこの砲台は由良要塞の一部で、由良と加太の砲台を合わせて管理していたようです。第1砲台〜第5砲台と名前がついていますがそれぞれ4〜5つの大砲が備えられていますので紀淡海峡に向いている大砲は30〜40になりますね。
因みに全国に配置された大砲はいくらあるのか?と「軍事施設・戦争遺跡」でインターネット検索したところ22ページに渡って600くらいの施設が出てきた。
全てが砲台ではありませんが凄い数です。莫大な税金と労力が浪費されたことになりますね!戦争はあかんと言うことですね!
近藤あき子(モンテス)
爽やかな秋風の中たくさんの会の方とご一緒でき楽しくハイク出来ました。友ヶ島は久しぶりですが何の知識も無く回った前回と違い、平和行進等参加した今回は各所戦跡を違った想いで見学でき、改めて平和への想いを強く持ちました。又、こんなに綺麗な自然が残されている友ヶ島が一段と好きな場所になりました。ありがとうございました。
《大阪登山者九条の会 11月例会》
ピースおおさか見学会
とき:11月28日(土)
集合:午前10時 JR環状線・森ノ宮駅 改札出口
会費:300円(ガイドの謝礼など)
問合せ・申込み:佐々木雅博 TEL/FAX 072−762−7768
今年の春にピースおおさかは「維新の会」の意向を受けて大幅なリニューアルを行ったと言われています。戦争の歴史展示物は加害者と被害者の両面の展示をしていましたが、リニューアルでは加害の歴史を大幅に薄めてしまったと言われています。
現地で確かめ、本当の平和を求めることについて考えましょう。
*見学会終了後、「原発」シンポジウムに参加する予定です。
日本科学者会議・シンポジウムのご案内
科学者が警告する「放射能が大阪を襲う日」
とき:11月28日(土)午後1時30分〜4時30分
ところ:国労大阪会館(JR環状線天満駅徒歩3分)
参加費:1,000円
テーマ1:伊方原発と高浜原発周辺の地層と地震
新潟大学 立石雅昭名誉教授
テーマ2:再稼働を許さない福井地裁判決の意義と補足
福井大学 山本富士夫名誉教授