<第4号議案>

新特別基金の規定と細則の改定について

 

1.新特別基金「規定」の改定(案)

「新特別基金」規定、附則第3項に基づき、次の案件について提起する。

 

@  1種基金借受金返済の返済方法の規定変更について

(現行) 第5章 第1種基金 第21条[返済]

加入団体は借受金の返済を、借り受けた翌月から10ヶ月間均等にて、毎月月末までに行わなければならない。

(改定案)

加入団体は借受金の返済を、借り受けた翌月から4ヶ月ごとの3分割にて、返済月の月末までに行われなければならない。ただし、遭難者が新特別基金に加入している場合には、交付金の精算時に返済の相当額と相殺できる。

 

(改定の理由)

返済の回数を10回から3回に減らすとともに、交付金との相殺も可能にして、使い勝手の改善をねらいとする。近年の利用実績はなかったが、地方連盟の単位での新規加入もあり、改定によって、利用のしやすさを促進する。

 

 

2.新特別基金「細則」の改定

2000年度にドアツードアなどいくつかの細則を改定し、2001年には過去最高の会員数を実現した。それから10数年の間に、会員の減少、保険業法の改定など、基金を取り巻く環境は大きく変化した。こうした変化や、この間のニーズや交付の実状調査、今後の動向などをふまえ、全国連盟理事会は、第24回理事会で以下の細則改定を決めた。適用は、2014年4月1日からとする。

 

@  海外登山の交付の条件の変更

細則−2 [山行規定]

(現行内容)

4.海外登山(トレッキングを含む)中の事故に対して新基金制度の交付を必要とする場合、登山計画書を事前に全国連盟海外委員会へ提出しておかなければならない。

(改定内容)

4.海外登山(トレッキングを含む)中の事故に対して交付を必要とする場合、登山計画書を事前に全国連盟海外委員会へ提出しておかなければならない。トレッキングとは異なる5000メートル以上の高所登山については、加入から1年以上経過した会員に対して交付対象とする。

 

(改定の理由)

高所登山も国内登山と同じように交付対象とすることは、当基金の大きな魅力にもなっているが、この補償内容は、日ごろの安全対策を含めた持続的・継続的な活動を前提にしている。しかし、海外登山の補償のためだけに加入する場合もあり、こうした問題点を是正するため、交付対象を1年以上継続の加入者とする。

アンケートでは、現状の制限に否定的な意見としては13%だが、「多少の制限なら」了解できるというものは42%になっている

 

A  ドアツードアの廃止

細則−2 [山行規定]

(現行内容)

5.山行中の事故とは、交通事故(車および交通機関の事故)を除く山行期間中の事故を指す。

(改定内容)

5.山行中の事故とは、交通事故(車および交通機関の事故)を除く登山口から下山口までの山行中の事故を指す。

 

(改定理由)

ドアツードアに交付の範囲を広げて以降、宿泊先や解散後の事故について、登山中の事故の範疇に入れるにはふさわしくないとされるような事例もあって、この制度に対する賛否が分かれていた。ドアツードアの廃止を政策的選択として、基金の非保険化の方向を明確にする。

アンケートでは、現状維持の意見は22%で、何らかの制限が必要とするものは71%であった。

 

B3倍交付の上限の変更

細則−3[交付の特典]

(現行内容)

1.第二種基金の加入者のハイキングまたは軽登山の事故に対しては、定められている交付率の3倍まで交付する。ただし、死亡・障害交付の交付は2,000,000円を交付限度とする。

(改定内容)

1.第二種基金の加入者のハイキングまたは軽登山の事故に対しては、定められている交付率の3倍まで交付する。ただし、通常交付の10口分までを交付の上限とする。

 

(改定の理由)

本制度の趣旨は、軽登山を前提にする3口以下の加入者の事故の際の負担軽減をねらいとしたものであった。10口の加入者がこの制度を利用する機会も増えて、本来の趣旨と合致しないケースも出ている。これを適正な交付内容に改定する必要が生じた。アンケートでは、廃止の要望も10数%あるが、現状維持は21%で、制限しつつ維持することへの希望が62%となっている。

 

C  疾病が原因で入通院、死亡した場合の交付率を制限する細則の設置

(改定内容)

細則−8 [疾病が主因となる事故の交付]

疾病が主因の登山事故であることが明白な場合、死亡・傷害および入通院の交付については、通常の3分の2の交付内容とする。

 

(改定の理由)

会員の高齢化が進むなかで、疾病による登山中の事故も継続して発生している。入通院の治療が長期化する傾向もあり、基金運営の健全性の維持と、健康管理を踏まえた安全登山を啓発するために、対応を明確にする。

アンケートでは、制限することへの同意も多い。ただ、事故の主因が疾病だと確認する具体的な手だてが難しいことが予想され、事故抑止に向けた規範的な意味が大きい。

 

D  救援者費用の設置

(改定内容)

細則−9 [救援者費用]

遭難者の安否確認や身柄の保護のために、当該団体が現地に要員を派遣する必要が生じた場合、交通費の実費について5万円を限度として交付する。ただし、救助捜索費を申請する場合は、この救援者費用は交付対象から除外する。また、海外については対象としない。

 

(設置の理由)

これまで、遭難者の出迎え、付き添いという形で費用の請求もあったが、救助外ということで対象にならなかった。最近は公的救助の充実やコンパニオンレスキューの減少で、救助捜索の費用が少なくなってきている。会運営の動向やニーズの変化に対応した制度として位置付けたい。

 

E  無事故報奨金制度の設置                      

(改定内容)

細則−10 [無事故報奨金制度]

10年間交付申請のない団体に対して無事故報奨金を交付する。

報奨金は、前年度の寄付金額の10%を目途にし、当該年度の該当団体数を勘案して按分する。

 

(設置の理由)

本基金の目的は、山行中の事故被害の救済のみならず、事故の未然防止である。この事業は、個人はもとより、団体総意の努力によるところがすこぶる大きい。無事故に向けた団体での長年の努力を顕彰するともに、加入団体全体に今後の努力を促すため、報奨金の制度を設ける。

 

 

以上の改定について、総会以降を周知期間とし、本年4月1日以降の事故に対して適用する。無故報奨金の交付については、本年1月1日〜本年1231日において10年を超えて基金の交付を受けていない団体を、15年評議会にて表彰し報奨金を交付する。以後毎年実行する。