『登山者のための気象学講座』のお知らせ

一昨年・昨年に続き,『登山者のための気象学講座』を開催します.

過去の気象学講座を受講された方,初めて受講される方,どちらでも受講できます.過去の講座とは少しずつ内容を変えつつ,初めて受講する方でも理解できる内容にしています.また,各回ごとに独立した内容ですので,興味があるものだけを受講していただけます.

下記の説明を参考に,基礎知識を習得したい方,復習をしたい方など,この機会にぜひ受講を検討ください.

受講対象: 大阪府勤労者山岳連盟会員および会員外

主  催: 大阪府勤労者山岳連盟教育遭対部

 

●講義の部

★1回目:11月17日(火) 19:30〜21:00 定員50

講師:河野仁(兵庫県立大学名誉教授,専門―気象学・大気環境,OWCC所属)

テーマ:気象学の基礎1 初級コース「雲と降水(降雪)

内容:天気図が読めない,書かれている内容が理解できない,天気図を使って天気の予想ができない,という人を対象に,「天気図の読み方の背後にある,気象の基本原理」を理解することを目標とします.今回は「雲と降水(降雪)に焦点を当てて,中学校の理科から高校の地学で習う湿度と露点の解説もします.「なぜ,低気圧では雲が出来るのか」といったことが,理解できように,ミニ実験を行いながらお話しします.

受講者に対しては,1週間前にメールでテキストと問題を配信します.受講者は,テキストを読み,問題を解く努力をしてから,受講してください.事前に回答できない場合は,講義の中で解説します.

 

★2回目:12月 4日(金) 19:30〜21:00 定員50

講師:河野仁(兵庫県立大学名誉教授,専門―気象学・大気環境,OWCC所属)

テーマ:気象学の基礎2 発展コース 「大気の安定,不安定とは」

内容:気象予報で,「大気が不安定なので雷や竜巻が発生しやすい」とか,「上空に寒気が入り,大気が不安定なので日本海側では降雪があるでしょう」とかよく言われます.「大気の安定度」は気象学の基礎中の基礎ですが,一般にはあまりよく理解されていません.「大気の安定度について,きちんと基礎を理解する」ことを目標にします.

受講対象者は,「一応天気図は読めるけれど,もう少し,気象学の基本原理を知りたい」という人を対象にします.この授業では中学の理科の気象の知識や,高校の物理で習う,密度,力,加速度,などの知識を基礎にして,実験を交えながら,大気の安定度について実例を入れた解説をします.

受講者に対しては,1週間前にメールでテキストと問題を配信します.受講生は,テキストを読み,問題を解く努力をしてから,受講すること.事前に回答できない場合は,講義の中で解説します.

 

●講義と演習の部

★3回目:12月 7日(月) 19:30〜21:00 定員20

講師:高田和孝(気象予報士,H.C.teruru所属)

テーマ:地上天気図の読み方,低山〜中級山岳への気象情報の活用の仕方(初心者向け)

内容:気象に関する基本的な知識を習得したい人,天気図が読めるようになりたい人を対象に,天気図を読むために必要な基本的知識と,天気図から読みとれる事柄の解説をします.さらに,一般に入手できる地上天気図,高層天気図,天気予報,数値予報などを用いて,気圧配置や前線の位置,寒気の様子などから山の天候を予想する演習を行います.

  事前にメールでテキストを配信しますので,わからないところや興味にあるところなどを当日質問してもらい,対話形式で詳しく解説するという形をとりたいと考えています.

 

★4回目:12月10日(木) 19:30〜21:00 定員20

講師:宮本よしと(気象予報士,カランクルン所属)

テーマ:高層天気図の読み方

内容:低気圧,高気圧,前線等の基本的な概念を理解していることを前提に,とくに標高の高い山を登る際に有効な高層天気図を読みこなすことを主な目的とします.

地上天気図は分かるけど高層天気図はとっつきにくいなあ,と思われているかもしれませんが,実は高層天気図のほうが単純なのです.これからの雪山の季節,強風,吹雪,視界等の悪条件は,行動の可否と登山の安全性を大きく左右します.入山前そして携帯電波が受信できるところなら山行中も予想高層天気図を読む習慣を身につけましょう.

講義では,演習を中心として配布する高層天気図からさまざまな気象ファクターを読みとる練習をします.また,受講者には約1週間前に電子メールで資料と問題の一部を配布しますので,事前の勉強をしておいてください.

 

★5回目:12月16日(水) 19:30〜21:00 定員20

講師:中川和道(労山大阪府連盟 教育遭難対策部長,OWCC所属)

テーマ:過去の気象遭難事例の分析と予測の演習

内容:地上天気図と高層天気図を駆使して分析を試み,事故回避策を討論します.

対象:(1)2009716日トムラウシ低体温症死亡事故.

(2)201254日白馬岳低体温症死亡事故.

(3)201355日八幡平乳頭山山スキー遭難.

以下の文献を購入・精読・当日持参して下さい.

・羽根田治ほか「トムラウシ遭難はなぜ起きたのか」ヤマケイ文庫,2012年.

・羽根田治「山岳遭難の教訓」ヤマケイ新書2015年.

・大阪労山ニュース201311月号13頁「第6回事故対策会議報告」のNo.4の事故事例

http://www.geocities.co.jp/Athlete/3063/kikanshi1311.htm

受講者には分析のための加工天気図などの素材を事前にメールで送ります.

 

●場 所 大阪府環境情報プラザ 研修室(森ノ宮駅徒歩約5分)

      http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/shisetsu/plaza/

●受講料 1回あたり500円(各受講日に受付で支払ってください)

●申込み(資料準備のため事前申込み制とします)

 名前,所属会,受講回(1回目〜5回目のいずれか,複数可)をosakarozan.weather@gmail.comまで.

 受講者には,事前にテキスト・資料等をメールで配信します.お申込みの際のメールアドレスが添付ファイルを受け取れない場合は,別途資料配信用のメールアドレスをご連絡ください.

以上