統合初級アルパインリーダー学校模擬リーダー山行 阿弥陀岳北陵の記録 

木村治朗 中川和道

■中川校長の総括文

 統合初級アルパインリーダー学校では,夏冬の初級アルパインルートを登るだけでなく下降をも安全に遂行できるリーダーの養成を目指している.夏と冬に実施する模擬リーダー山行で受講生の到達度を評価しリーダー判定を行う.第1回の2014/9/13-15に穂高岳滝谷ドーム中央稜(リーダー候補 栗原),第2回の12/27-28八ヶ岳大同心稜(リーダー候補 井上,高田)を経て今回第3回は,八ヶ岳阿弥陀岳北稜(リーダー候補 木村)で2015/2/21-22に実施した,今回は受講生5名全員が参加し,コーチは中川和道校長1名であった,

 今回の訓練の想定と目的を述べる.「悪天をついて阿弥陀岳北稜を登攀中にドカ雪が降り中岳沢に多量の積雪が蓄積されたため中岳沢が下降ルートとして使用できず,北稜を下降せざるを得ない状況に陥った,北稜には他パーティーがいる」,との想定をした.そのうえで今回の山行の課題は,北稜を登り北稜を下降するのであるが,他のパーティーに雪崩を浴びせたり行動上の迷惑をかけない前提でなるべく短時間で下降する.そのため,ルートの取り方を議論検討する.また下降方法として懸垂だけでなく固定ロープ方式なども含めて検討する,というものであった.

 結果的には,登攀中は何と無風快晴で昼間には最高気温+7℃の好天に恵まれ,後続パーティーもなしという恵まれ過ぎた状況の中での実践山行となった.好天の行動中に議論は弾み有意義な教訓が得られたので,テクニカルノートでまとめたい.残念だったのは,井上がおそらくこの時のみの一時的な高所障害のためよれよれの登頂となったこと.またヒヤリ事象としては,木村のハーネスが何と懸垂中にはずれたことであった(後述).事故に直結する可能性の高いヒヤリ事象だけに,今後の教訓として克服が必要である.また,水筒のふたが緩んでいて就寝中に寝袋を濡らしてしまうという初歩ミスもあった.継続登攀では致命的になりかねない.気を引き締めて行きたい.

以下,木村による記録.

■日時:2015/2/20(金)晩発〜22(日)

■メンバーとパーティー編成:[栗原/中野/木村]  [高田/井上/中川]

■天候:21日快晴〜夜間粉雪/22日曇り

■行程:

20 21:00大阪駅集合・出発 212:00黒丸PA・恵那峡SA・諏訪南ICのファミマで休憩

3:00美濃戸口 3:30赤岳山荘駐車場・就寝

215:00起床 6:22出発 9:08行者小屋(荷物デポ・行動準備)10:10再出発 10:25夏道

分岐 11:30ジャンクションピーク(JP) 11:50第1岩稜 12:20第2岩稜(1ピッチ目) 

12:35第2岩稜(2ピッチ目) 13:30ナイフリッジ上 14:00阿弥陀岳山頂 14:30下山開

始 14:35ナイフリッジ上(懸垂1ピッチ目) 15:50第2岩稜中間(懸垂2ピッチ目) 

16:30第1岩稜上部(懸垂3ピッチ目) 16:50第1岩稜中間(懸垂4ピッチ目) 17:10 JP 

17:20中岳沢下降点 18:03行者小屋 21:00就寝 

22日 5:30起床 7:30出発 9:00赤岳山荘駐車場 10:00モミの湯(入浴・反省会)

12:15出発 諏訪湖SA・内津峠PAで休憩 16:30帰阪

20日(金)

6人での山行となり,荷物を考慮して当初の車1台から2台に変更.1台は梅田(木村号),1台は生駒(栗原号)とし,21:30集合で黒丸PAで合流予定であった.が,栗原号の出発が遅れ,木村号は先行する事に.

当初は小黒川PAでの仮眠予定であったが,天候を見ているとあきらかに土曜日アタックが望ましい.2日前の段階で出発地である赤岳山荘駐車場まで行って仮眠する予定に切り替えた.

ちなみに個人的には小黒川PAは仮眠地としては遠すぎると思われる.諏訪湖SAでは利用者が多く眠れないとの理由のようであるが,諏訪南ICの直近にある中央道原PAであれば,非常に静かであると思われる(下見済み).諏訪南ICを降り,最後の休憩でファミマに寄る.ここで栗原号に連絡を取るとまだ小黒川PA50分ほどかかる.

美濃戸口から先の道は不安なためせめてそれまでに合流したかった.そこで美濃戸口にある八ヶ岳山荘の仮眠室の利用を思いつき,行ってみたが,残念ながら6人分のスペースは残っていなかった.ここなら暖房も布団もあって2000円で仮眠ができる.シュラフやマット等のパッキングを崩さずに済むので朝のスタートも短縮できて今後のおすすめ.

とりあえず心配ではあるが,朝一からの行動を考えると時間は無駄にできないため,電話がつながることを確認しつつ,赤岳山荘へ先に向かう事にする.が,道はかなりつらい.四駆スタッドレスだけでは難しい場面も多く,チェーン携行が望ましい.デフロックの無い街乗りフルタイム四駆ならやめておいた方がいいだろう.途中先行車がスタックして道を塞いでおり,かなりのタイムロス.結局赤岳山荘到着は3時になってしまった.

一方,栗原号は美濃戸口からの道は結局上がれず,下で仮眠して朝の出発時間に合わせて歩いて登るという.辛い選択ではあるが救済しようがない.申し訳ない.こちらは5時起床予定で1時間半ほど眠ることができた.

21日(土)

5:00起床.豊中労山の雪山学校一行が4時頃到着していた.赤岳鉱泉BCの赤岳らしい.高田・栗原両名も6時前に無事到着したが,そこから装備や食材の分配もあり,結局出発は6:22.天気は快晴.気温は井上の計測で-14℃.しかしながらそこまでの寒さは感じない.特に美濃戸口から歩いてきた高田はすでにヤッケを脱いでいる.

それぞれの荷物は以下の通り.木村21.4kg 井上17.5kg 中川15.0kg 高田18.8kg 栗原21.7kg 中野19.3kg.中川校長より2日前に「ザック30L,重量15kg」という指令が出たが,ベース予定での装備は今更組み換えようがなかったのでそのまま突入した.

赤岳山荘から行者小屋までの南沢,井上が高度による不安を訴えていたため,2番手を歩いてもらいゆっくり進む.途中,行者小屋まで40分という表示があったが,そこから普通に1時間かかった.天気が良く,大同心・小同心,赤岳,阿弥陀岳などがあまりにハッキリ見えるため,そこでまたルート確認などに時間を要した.結局行者小屋には9:08到着

6テンのフライを出してデポする荷物を分ける.この時点で気温は-7℃.今回,直前の小屋のブログ等で18日にかなりの積雪があった事を知り,一応ワカンを装備に足したが,どう見ても要りそうになかったのでここでデポ.アイゼン,ハーネス等はここで装着して出発とした.

行者小屋手前からルート検討

 ここから山頂が見えていたのでルートの確認と検証.特に下降路の話になったが,第2岩稜の巻き道(左のルンゼ)を懸垂で下降するとなると,雪崩の危険があるのではないかとの危惧.そもそも中岳沢が雪崩の危険で下れないから懸垂で戻る想定であるため,同じリスクがあるのではというもの.その右側はという話になったが,そちらへ下ると簡単に尾根に戻れそうにない.結局同じルートを下るしかないという結論になった.JPまでのルートは協議の結果,登りは夏道からの尾根を,下りでJPからすぐに中岳沢側に降りるルートを確認しておこうという結論になった.結局出発は10:10となる.時間を取りすぎたと反省.

・行者小屋〜JP

文三郎道と中岳沢,阿弥陀岳夏道の分岐のところからしっかりとトレースがついていた.そこからJPまでの間は尾根を真っ直ぐ登っている.色々記録を読むと二つの尾根の間を登ったり,中岳沢を詰めてJPの手前で尾根に登ったりと色々だが,トレースが無かったり,視界が悪い時にはこの尾根を進むのが一番確実な方法であると思われる.普通の急登で,まったく危険なところもないままJPまで登れる.視界が開けてくると快晴の空で本当に気持ちが良い.そこに真っ直ぐな飛行機雲が出て歓声があがる.

ここで高田より,「飛行機雲がすぐに消えるのは水分が少なくて天気の良い証拠.逆に15分以上残るようであれば翌日には雨が….」と有用な情報.

JP手前で中岳沢を見れば熊が.もっと手前でも見えていたが,カモシカだと思っていた.そのまま沢を上に詰めていったが,稜線を歩いている人が出くわすとさぞかし吃驚するであろう.(中川注:帰阪後,自然保護委員長の澤村氏にお聞きしたらクマはおそらく冬眠中であり,中川の写真では細い脚の動物と見えるのでカモシカであろうとのこと.さて,真相は??).

2岩稜基部.左の巻き道はロープ不要

JP〜第1岩稜

2岩稜2P目は中央の岩

を登る.

JPで一息ついて,第1岩稜へ.第1岩稜といっても岩場はほとんど見えずに,ダケカンバが沢山生えた雪壁である.斜度はあるがそんなに危険度は無い.ただ雪が柔らかくアイゼンはあまり効かなかった.ここはロープなしでも全然問題はない.ここを乗り越えて左を見ると,中岳のコルから先に見事な富士山が見え

た.しばし見惚れる.

・第2岩稜(1ピッチ目)

2岩稜1P目をリードす

る高田.確保は井上.

第1岩稜を乗り越えると黒い岩が現れ

る.ルートは手前の左側の角にある.下部

にハーケンが2本,上部にペツルが一本打ってある.我々は2パーティなので下端からは高田/井上/中川組が登攀を始める.栗原/中野/木村組は,少し左に巻いて凹んだところのリッジにとりついた.ここもハーケンがあったが,ロープなしで登った.1段上がってからは草付きの雪壁があり,その先は傾斜が緩んだ雪斜面になった.

・第2岩稜(2ピッチ目)

2岩稜は2つの岩に分かれており,これが2つ目の岩になる.下部に

2岩稜2P目をリー

ドする栗原.

ペツルが2本.ここで気温はなんと7℃.ビレイをする高田は「暑い」と.

岩の左側を上がるとその先がナイフリッジ,ナイフリッジの先の雪壁を少し

登ると尾根は左に曲がる.そこでピッチを切り,確保に移るが,支点がない.中川校長の記録によると,少し掘ればハイマツで支点が取れるとあったが見つからず,栗原はピッケルにて支点をとる.せっかくスノーバーを持って行っていたのに,パーティごとに分けていなかった.反省.

掘り出して支点に用いたハイマツ.

その後,あちこちを掘ってみるが,ピッケルで掘るのではいいハイマツは中々見つからない.スコップを出してみたがどうもこれも効率が悪い.結局スノーソーが一番であった.あちこち簡単に深くまで刺せるし,ハイマツに歯が当たった時の感覚が明確にわかった.

・ナイフリッジ〜山頂

ナイフリッジを超えるともう普通の斜度の無い雪壁であり,トレースもしっかりついており10分ほどで山頂である.ここは360°見渡せる素晴らしい山である.富士山を筆頭に,南アルプス,北アルプス,中央アルプス,頸城山塊,本当に絶景であった.山頂の道標は完全に埋まっていたので,今年の雪は多いと思われる.

ここで前週に亡くなった学習院大学の事故について検証.山頂から南側へのまっすぐなトレースがあり,きれいに尾根が続いているように見えた.本来の下山路である中岳側へは,一度北陵側へ下る必要があるが,感覚的には南側へ行きたくなる気持ちが良くわかった.吹雪いて視界がないと南側への間違 う可能性が強くなると思われる.

記念写真をとって下山開始.

・懸垂1ピッチ目(ナイフリッジ上部)

阿弥陀岳頂上.背景に富士山が.統合初級1期生全員がそろった.前列左から栗原,(中川),中野.後列左から井上,木村,高田.

支点をどこでとるかが問題.掘り出したハイマツが2ヶ所あり,最初の雪壁を少しおりたところを支点としたが,そこまでの下降が危なかったのではないかと反省が残る.また,ナイフリッジの中間で振れ止めのランニングをスノーバーで取ったが,そこでの屈曲もあってか引き抜きテストが上手く行かなかった.原因は,捨て縄の摩擦,振れ止めの屈曲,岩場のトップの摩擦が考えられた.

振れ止めは最後なくなるので考慮しなくてよい

が,最後の人が降りてからしかチェックできないのは怖い.最後の人が岩場のトップで一度結び目まで引き抜いてから降りるようにという指示であったが,そうなるとそこでセルフをとって懸垂システムを一旦解除する必要がある.念の為に支点に捨てビナをしようと話をしていたが,結局3人目の引き抜きテストから動くようになった.おそらく岩場トップの雪がロープの動きによって固められて摩擦が減ったのであろう.

ナイフリッジに打った

スノーバーの問題点.

あと反省点としてスノーバーの振れ止めをもっとシュリンゲで伸ばしておくべきであった.それは屈曲を減らすという意味だけでなく,この状態では降りるたびにスノーバーの抜ける方向にテンションがかかって

いたからである.

とりあえず1ピッチ目の懸垂ではかなりの時間を取られてしまう.あとで気付いた一番の反省点として,登りの段階でここはロープを中間点間まで出していなかったのを覚えていたので,折り返しで懸垂できる距離であったことに気付くべきであった.そうであれば結び目がどうのこうのと考える必要もなかった.

ここで非常に危険な事態に.懸垂の途中で木村のハーネスが外れるという信じられない事が起こった.幸い足場のあるところだったので,即座にロープを掴んで止まることができたが,一歩間違えば事故である.ハーネスは壊れておらず,ベルトのすっぽ抜けである.何故こんな事が起きたのか?

懸垂下降中にはずれた木村のハーネス.頂上で撮ったこの写真から折り返しのベルトがはずれていたことが分かる.

山頂での写真に重要な証拠が残っていた.ハーネスのバックルがきれいに写っており,これをみることでこの段階で既に折り返しのベルトが外れていることがわかる.このハーネスは非常に折り返しが難しく難儀するので,行者小屋でも苦労した.なので折り返しを忘れたこ

とはありえない.何かにひっかけて外れたのか,とにかくこのような事

が起こり得るというという貴重な体験であった.

とにかくなんとかハーネスを外して下に渡し,その辺のシュリンゲで半マスト結びで降りようとしたが,普通サイズのカラビナはダブルロープでの半マスト結びには小さすぎて,半マスト結びは不可能だった.仕方なく肩絡み懸垂で降りた.

・懸垂2ピッチ目(第2岩稜中間部)

ここは二つ目の岩場のビレイ点にあるペツルを使用して懸垂.縦に二本並んだペツルであったが,上部の一ヶ所のみ使用していた.個人的には下図のようにセットした方が良いと思う.理由としては,(1)一本が飛んでも他が残る,(2) 引き抜き時の摩擦が減る.ただし,この方法は支点への力の分散にはならないのでアメリカン・デス・トライアングル(A.D.T)と呼ばれ,注意が必要.高田から豊中労山の河野良治氏に「たて向き流動分散」「横向き流動分散」を学んだと聞き,作ってみた(写真).参考にしてほしい.ただ問題はいろいろ残っていて,(1)横向きでもたて向きでも1ピンが飛ぶとロープが引き抜けなくなる,(2)ハインツ・プロハスカによる方式(ピット・シューベルト「改訂版 生と死の分岐点」1999年,山渓p.195)も魅力的であるなど,今後検討が必要である.

横向き流動分散()とたて向き流動分散()

 さて2ピッチ目の懸垂後にロープが抜けなくなった.上部の岩に結び目が引っかかってしまったようだ.幸い反対側がまだ上がっていなかったので,再度戻してロープの位置を替えて大きく振り,何度か繰り返して外すことができた.懸垂時に引っかかりそうな場所を良く観察しながら降りる必要がある.

・懸垂3ピッチ目(第1岩稜上部) 

ここは上部にあったダケカンバで支点をとって,最初の人だけスノーバーで振れ止めを入れた.灌木帯の雪壁であり,なんの危険度もないが,1ピッチでは届かない.

・懸垂4ピッチ目(第1岩稜中間部)

最後の1ピッチになるので,折り返しの懸垂で降りた.34ピッチ目は,支点になる木が山ほどあるので,複数のロープを使って各自が折り返しで短いピッチを切って降りた方が早かったのではないかと思われる.確保器もなしでもいいかも.

JP〜行者小屋

JP直下の下りだけやや急だがあとは問題ない.当初の予定通り,JPのやや下から分岐したトレースを中岳沢側に下る.かなりの急斜面である.降り切ると中岳沢沿いは非常に歩きやすいトレースだった.最後に文三郎道に合流し,行者小屋に18:03着.

・テン泊

テン場帰着が18時と遅かったので,整地もそこそこにテントを張る.男ばかり6人で6テンというせまく厳しい環境.要らない荷物はすべてザックに詰めてツェルトの中に.行者小屋には以前槍ヶ岳山荘にいた元大阪労山の沖田氏がおられ,いつも中川さんにはお世話になっているからと,おつまみをサービスしていただいた.今回の食担は栗原.晩飯はキムチ鍋.ビールが進む.就寝は21時過ぎ.流石に男6人では身動きが取れない狭さである.しかし暖かい.枕になるものをザックから出しておくのを忘れたが,プラティパスを膨らませたら良い感じの空気枕になった.これは使える.

22

6時起床予定であったが,5時半頃中野が「水が漏れている」と.Mont-bell製のかものはしが1リットル分まるまる漏れてしまったようだ.蓋が緩んでいたらしい.雪山でテント内で水をこぼすなどというのは,あってはならないミスであり情けない.帰るだけの日で助かった.かなりの水の量であったが,枕にするためにシュラフカバーを掛けなかった井上のシュラフがかなり吸ってくれたおかげで,全体的な被害は少なかった.

朝食は,元々2日目のアタックを想定して,時間をかけないようにとパンとスープを用意してくれていた.ツナマヨネーズが美味しかった.起床を早めた分,出発も30分前倒しにして7:30出発.9時には赤岳山荘についた.もみの湯で入浴,反省会,昼食を済ませて帰阪.早かった分渋滞もなく,なんと16:30に大阪着であった.

 


 

■ルート概念図

気象データ

■天気予報

20日発表

21日:日本海から三陸沖に進む高気圧に覆われて晴れる.風も日中は弱い.警戒事項:乾雪雪崩 

22日:中国東北地方で低気圧が発達する.この低気圧は停滞ぎみだが,寒冷前線が西日本を東進し,夜遅く北アルプスを通過する.朝から稜線では南西風が強く,日中一旦弱まるところも午後は急速に強まって,南側に開けた稜線や尾根上で暴風雪に.尾根や稜線以外では午前中,風の強まりを感じないところが多いが,尾根や稜線に出てからの急激な風の強まりに要警戒.また,気温が上昇するため,標高2,000m以下では午後,次第に雨となり,夕方には標高2,400m付近までみぞれや雨になる見込み.湿雪雪崩や沢の増水,ブロックや雪庇の崩落にも警戒. 担当予報士:猪熊

21日発表

22日:三陸沖の高気圧が東へ遠ざかり,南から湿った空気が入りやすくなるため,朝のうちは一時的に小雪が降りやすい天気になりそう.稜線では南寄りの風がやや強く,強まるところも.その後,日中は一旦晴れ間が多くなるが,次第に沿海州沿岸付近から南にのびる気圧の谷が接近してくるため,夕方頃には雪や雨が降りやすくなっていく.稜線では荒れ模様になる恐れ.夜は標高2000m付近まで雨が混じる恐れもあり,沢筋では湿雪雪崩やブロックの崩落などに要警戒. 警戒事項:強風による転滑落,低体温症,凍傷,乾雪雪崩,湿雪雪崩,ブロック崩落,視界不良による道迷い 担当予報士:小林

 

以下,8月号に続く